出会う、伝える、理解する

教育・研究・スポーツ

(Hiroshima University students in Vytautas Magnus University, Kaunas; photo by Jonas Petronis)

日本とリトアニアは、文化や書籍、国際サミットを通じてだけでなく、異なる年齢層での青少年交流が発展しており、互いについて知る機会が複数存在しています。こうした交流は、学校、団体、大学同士を結びつけ、対面し、コミュニケーションをとり、互いを直接理解し合えるようにしています。リトアニアの子どもたち、若者たち、研究者たちは、さまざまな形で教育や研究を行い、日本に親しみを持っています。また、日本人も同じようにリトアニアについて知る機会があります。2019年から続くパンデミックにより、直接的なコミュニケーションをもつ機会は減ってしまったものの、教育と科学はこうした障壁を乗り越えていきます。二国間の協力において最も重要な方法の一つなのです。

学校間交流

国同士での学校間交流は学年が小さいうちから始まります。関係性は小中学校で発展していきます。その結果、学校同士が強い関係を築き、小さな子どもたちが異文化についてより深く学べるようなプログラムが整備されていくことは、何よりも喜ばしいことです。

(Yaotsu school visit; J. Dobkevičius progymnasium)

学校同士の正式な交流事業は、青少年の交流を促します。最初の例となったのは、1999年にヴィリニュス・ウジュピスギムナジウムと立命館慶祥中学校・高等学校が結んだ協力協定でした。さらに、パネムネ・ギムナジウムと平塚中学校、ドルスキニンカイ・アトギミマス学校、リトアニア健康科学大学ギムナジウムと湘南学園、カウナス・ユルギス・ドブケヴィチュス・プロギムナジウムと八百津中学校などの学校間の交流の成功事例が挙げられます。各学校は代表団の受け入れや派遣、ビデオ会議、相互理解を深めるための交流会などを開催しています。

また、リトアニアの学校では、生徒が課外活動として日本語を学んだり、第二外国語に日本語学習の機会を持つ学校もあります。

(J. Dobkevičius progymnasium archive)

スズキメソードには、すべての子供は完璧かつ愛情に満ちた教育環境の中で、何でも学ぶことができるという独自の基本原則があります。この基本原則は、日本の哲学者で教師でもあった鈴木鎮一(1898-1998)により開発されました。その後、オルタナティブ教育として世界中に広まりました。1998年にはリトアニア・スズキ協会が設立され、リトアニアでこのメソードを発展させ、活用する教師や教育機関を統合しました。多くのリトアニアの子どもたちがこのメソードによる教育を受けています。

(Azija LT archive)

コンテストでは日本語を学ぶリトアニア人が、日本語でスピーチ原稿を作成し、人前で発表を行っています。若い日本語学習者たちが自らの日本語力を発揮する場となっています。このコンテストは2009年に初めて開催されました。2018年からは、小丸交通財団と広島大学と協力しながら、VMUのアジア研究センターで毎年このコンテストを開催しています。

(VMU Centre for Asian Studies archive)

リトアニア子ども・青少年センターは、日本大使館と協力して、2017年からリトアニアで日本文化WABI-SABIプロジェクトを開催しています。学校、教師、生徒が、様々な表現を通して不完全なものの美しさを創り、明らかにしながら、日本についての学びを促進しています。

日本政府は、様々な国々から教員を招聘し、日本の学校で一定期間過ごすインターンシッププログラムを実施しています。多くのリトアニア人教師がこのインターンシップに参加し、熱心に日本との親睦を深めています。

(Kaunas teachers in Hiratsuka; Kauno Pedagogų kvalifikacijos centras archive)

リトアニアにおける日本のスポーツ

日本とリトアニアを結ぶもう一つの分野がスポーツです。日本の武道は単なるスポーツではなく、規律を教える価値観のいち体系でもあります。リトアニアでは戦間期にすでに日本武道が盛んでした。例えば、カウナス(当時のリトアニアの首都)の警察学校では柔術が必修科目になっていました。また、ソ連時代の終わりには、リトアニア全土に空手クラブが開設されていました。リトアニア独立後の30年間で、その種類は大幅に増えました。リトアニアのほとんどの都市に、日本の武道のクラブがあります。

(Lithuanian athletes in Hiratsuka during preparations for 2020 Tokyo Olympics; Office of Lithuanian Government)

日本語で空手とは「空っぽの手」を意味します。空手は身体以外の武器を一切用いません。空手の起源は、沖縄で生まれた武器を使わない護身術にあります。この武術は次第に広がり、伝統派空手、極真、松濤館流など、様々な流派や組織が作られていきました。

リトアニアで空手が広まったのは、ソビエト連邦時代の最後の10年間の期間です。大きな団体がいくつか設立されました。2002年には、伝統的な空手流儀を推進するリトアニア伝統空手連盟(http://www.ltka.lt/)が作られました。同時に、2017年からリトアニア空手連盟(karatelt.lt)は、異なる空手流派を代表するクラブをまとめ上げています。連盟には約80のクラブが所属しており、国内のみならず国境を越えた大会、ヨーロッパ選手権、世界選手権にも参加し、子供、若者、成人のための合宿なども開催されています。

日本古来の柔術から発展した武道で、修行による自己鍛錬を目的とした武道です。オリンピックの競技にもなっています。リトアニアの柔道クラブは独立後の10年の間に設立され、現在では約100のクラブが存在しています。クラブは、リトアニア柔道連盟(https://judo.lt/)と全国柔道協会(www.lietuvosdziudo.lt)の2つの組織で統一されています。

リトアニアで最も有名な柔道家はマリウス・パシュケヴィチュスで、世界選手権で銅メダル、ヨーロッパ選手権で2つの銅メダルを獲得、さらにリトアニア代表として2000年と2012年の2度オリンピックに出場しています。

(Lithuanian Judo Federation archive)

植芝盛平(1883-1969)は、20世紀初頭、心身を錬成する体系を作り上げました。植芝は古武術の伝統に槍や銃剣を使った動きを鍛錬に取り入れました。合気道の原則は、相手の動きを取り込み、最小限の力で相手の行動を制御することです。リトアニアにおける合気道は21世紀初頭に普及し始め、2004年にリトアニア合気道合気会連盟(https://laaf.lt/)が設立されました。

刀の道理を通じて人格を鍛え上げる道で、その起源は侍の武術に端を発します。剣道では防具や刀を用います。リトアニアの日本武道の中では最も新しく入ってきたものの一つで、2005年に剣道を愛好するグループらが稽古を開始します。その後、剣道人口の増加と関心を持つ人々の専門性が高まり、海外の大会へ無事出場を果たしたことで、リトアニア剣道協会(https://lka.kendo.lt/kendo-lietuvoje/)が設立され、2006年にリトアニアでオリンピック競技ではないスポーツの一つとして認定されました。

(Lithuanian Kendo Association archive)

(Lithuanian Kyudo Federation archive)

弓道は日本の弓術を起源とする武道です。弓道では「弓」と「矢」が用いられます。八つの基本動作への集中、姿勢や弓使いのみならず、視線や心の内を平静な状態に集中することが鍵となります。リトアニアでは最も新しい日本武道で、2009年に登場しました。同年、リトアニア弓道連盟(kyudo.lt)が設立され、現在、約20名の会員が継続的に弓道の稽古に励んでいます。また、毎年、弓道選手権大会が開催されています。

大学での学び・青年交流

大学レベルで他国を知る素晴らしい機会があります。リトアニアのヴィリニュス大学やヴィータウタス・マグヌス大学には日本研究があり、日本はアジアの中でもリトアニア語を学ぶことができる国の一つです。多種多様な交流プログラムにより、学生、教師、研究者が互いに相手の国を訪れ、カンファレンスやサマースクールへ参加したり、共同研究を行ったりする機会があります。日本政府(文部科学省および国際交流基金)は、奨学金やインターンシップの様々なプログラムを提供しています。

(establishment of Studies in Japan Alumni Association in 2011; Azija LT archive)

2006年から日本政府の助成による国際青少年交流事業に両国の青少年が参加しています。また、2019年4月1日より日本とリトアニアの若者は、相手国で1年間ワーキングホリデービザを取得する機会を得ることができました。パンデミックにより現在は休止状態ですが、このプログラムは若い世代の国際交流および異なる生活様式への気づきを促してくれるはずです。

リトアニアにおける日本研究

リトアニアの独立回復後、国内では2つの機関が日本研究を行い、大学における日本語、日本史、日本文化、日本社会について学ぶ機会を提供してきました。ヴィリニュス大学アジア・トランスカルチャー研究所(2018年までは東洋学研究センター)は、日本学の学士課程を持っています。VMUのアジア研究センター(2009年までは日本研究センター)における日本研究は東アジア文化・言語の学士課程(2012年から開始)および修士課程(2007年から開始)の必修科目の一部となっています。また、クライペダ大学東洋学研究センターでも、日本語と日本文化を学ぶことができます。

2018年には100人以上の学生がリトアニアで日本語を学びました。

(VMU Centre for Asian Studies archive)

日本におけるリトアニア研究

(Lithuanian language students of Tokyo University of Foreign Studies, 2014; photo by E. Sakurai)

日本はアジアでは数少ない、大学でリトアニア語を学ぶことができる国です。しかし、リトアニア語を専門とする学部や学科はなく、リトアニア語はコースとして教えられるのみにとどまっています。リトアニア語を学ぶ人の多くは、古代のインド・ヨーロッパ語族に興味を持つ言語学の学生で、学術的な側面からリトアニア語を勉強しています。

名古屋大学は、日本で初めてリトアニア語が学べるようになった大学です。1975年頃から矢野通生教授がリトアニア語を教え始めましたが、2000年に講座が終了しました。短期間ながら東京大学(2009~2010年、櫻井映子講師)、京都大学(2006~2007年、井上幸和講師)、神戸外国語教育学院(2006年、井上幸和講師)などでリトアニア語が教授されました。

リトアニア語は、1997年から大阪外国語大学(2007年に大阪大学と統合)で開講され、また、東京外国語大学でも教えられています。両大学では、櫻井映子講師が教鞭をとっています。

リトアニア語は例外なく誰にとっても難しく、特に単語の語形変化が難しいようです。

– 櫻井映子

大学間交流

リトアニアの大学の多くは、日本に協定先を持っています。各大学は、交換留学プログラム、共同研究プロジェクト、学習プログラムなどを実施しています。学生は頻繁にサマーキャンプや教育プログラムに参加しています。日本へ留学するリトアニア人学生の数が増えていることから、2011年には日本留学生同窓会が設立されました。しかし、こうしたプログラムは、リトアニアの若い世代にとって日本を知るための機会であるだけではありません。交流プログラムをきっかけに、日本の学生もまた、リトアニアについて学ぶことができ、何人もの学生が自分の国の親善大使となってきました。

この分野では、19のパートナーを持つヴィータウタス・マグヌス大学と、ヴィリニュス大学が中心的存在となっています。日本では、広島大学、早稲田大学、岐阜大学、佐賀大学などの大学が、リトアニアとの協力関係を積極的に展開しています。

(VMU Centre for Asian Studies archive)

科学・技術・イノベーション

(agreement to encourage research cooperation between Lithuanian and Japan)

ここ数年、リトアニアと日本のパートナーシップの大きな可能性は、科学、技術、イノベーションの分野で顕著です。 伝統への敬意と勇敢かつイノベーティブな技術的ソリューションを兼ね備えた日本独自の能力は、リトアニアが好例から学ぶ機会を促してくれます。これにより、相互的な科学研究の創造と発展、そして同時に経済関係の確立を実現することができます。

この分野において、リトアニアは日本と主要な協定を結んでいます。生命科学分野での協力は、二国間の協力が発展していることを示す一例となっています。2019年、欧州連合と日本は、連結性パートナーシップの強化に合意しました。これにより、エネルギーの安全や交通インフラの分野で相互にプロジェクトを伸ばしていく新たな機会が生まれました。

2014年、リトアニア研究評議会と日本学術振興会(JSPS)はパートナーシップ協定を締結しました。これは、リトアニアと日本の研究者らの間の強力な科学的関係を促進するものです。両団体は2017年から、科学的研究とその普及のためのプロジェクトを公募しています。

テクノロジー

2011年5月、理化学研究所と国立科学研究所の物理科学技術センターは、協力協定を締結しました。2016年、科学技術分野における日欧の協力プログラムであるEIG CONCERT Japanにリトアニア科学技術庁(MITA)が参加しました。また、科学技術振興機構が日本でのパートナーとなっています。

(Y. Himen lectures in 2014; Japan's Embassy in Lithuania archive)

生命科学

生命科学と健康科学の分野においてもリトアニアと日本の協力関係は密接です。リトアニア研究評議会のメンバーの一人である浅島誠教授は、幹細胞や再生医療の研究において著名な日本の専門家です。2017年3月9日、保健省と日本医療研究開発機構(AMED)の間で覚書が締結されました。この覚書は、生物医学の様々な分野における知識と技術の交換という点で非常に意義深いものです。

(M. Asashima with A. Veryga in 2017; Ministry of Health of Lithuania archive)

書誌情報

  • https://www.delfi.lt/verslas/energetika/japonu-profesorius-apie-ismoktas-pamokas-po-fukusimos-bei-atsinaujinancia-energetika
  • https://karatelt.lt/index.html
  • http://www.ltka.lt/LTKA_istorija
  • https://laaf.lt/
  • https://www.lietuvosdziudo.lt/
  • https://judo.lt/
  • https://lka.kendo.lt/
  • https://kyudo.lt/naujienos/
  • https://suzukiasociacija.lt/lsa/

Tue ‒ Thu: 09am ‒ 07pm
Fri ‒ Mon: 09am ‒ 05pm

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